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作家志望であるかどうかあやしくなってきた作者が、広く世の中に認知してもらうためのあらゆる実験を行うための日記。また作家になるかどうかあやしくなってきた過程を随時報告していきます。
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引き出し
あすなろ出版の編集者坂東は、持ち込みをしてくる作家志望の受付役を担当している。

今日現れた笠茂健人はかなり年配で、おそらく何年も持ち込みを続けているのだろう。

「これは期待できないな」

と思いつつ、坂東は笠茂の応対をする。



編集部の片隅にある、編集者の仮眠場所を兼ねた、持ち込み作家用の応接セットに彼を案内した坂東は、

「じゃあ早速見せてもらいましょうか」

と原稿を催促する。

しかし笠茂は原稿の代わりにパソコンのフラッシュメモリーを一つ取り出した。

「坂東さん、今おたくで急に必要な原稿はないですか?どんな分野でもいいですよ」




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[テーマ:ショートショート | ジャンル:小説・文学]

【2006/06/04 14:46】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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織葉愛は、生まれた時から病院暮らし。

完全に隔離された病室で毎日を過ごす。

彼女はその病室からも出たことが無い。

医師は毎日、愛の診察に現れる。

愛の病気は非常に感染力の高い伝染病のため、医師は常に全身を覆いつくす保護服とマスクをしている。

愛は毎日やってくる担当の医師の顔すら見たことは無い。

愛は言語に障害があるため、筆談か、パソコンの画面とキーボードを使って会話する。

それらは全て医師から教わったことである。



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[テーマ:超短編小説 | ジャンル:小説・文学]

【2006/05/26 01:04】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) |
一+二=三
工藤祥一は生まれつきの難病で、生まれた頃からずっと入院生活をしている。

血液の病気で、今のところ治療法が無く、いつ死んでもおかしくない。

彼の両親は優しく、毎日彼を見舞い、励ましてやる。

企業の社長をする父親は、持てる全ての金をつぎ込んで、祥一の治療に当たらせる。

そんな両親の優しさに触れ、感謝しながらも、まだ見ぬ外の世界に憧れ夢見る祥一。

そしてその夢が叶わぬことを自覚させるように、体を蝕んでいく病。

次第に夢をあきらめ、絶望の淵に祥一は落ちていく。



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[テーマ:短編小説 | ジャンル:小説・文学]

【2006/05/23 18:49】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(2) |
母の頬
あやめは、最近自分の母親が、めかしこんで出掛けていくのが度々あることを、訝しく感じていた。

最初のうちは気にならなかった。

むしろ、姉妹二人を育て上げるのに、家事に追われ、趣味らしきものも持っていないように見える母が、積極的に外に出て行くことを喜ばしく思っていた。

しかし、どうも数を重ねるうちに、あやめの中に疑惑が浮かんできた。

これといった根拠はないのだが、あやめは母が浮気をしているのではないかと思うようになっていた。

今まで、あやめにとってただ母親という印象でしかなかった母が、一人の女性として感じられることが多くなってきたからだった。



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[テーマ:オリジナル作品 | ジャンル:小説・文学]

【2006/05/08 16:24】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) |
株価
私の毎日は、朝新聞を読むことから始まる。

多くの同業者は、昼夜逆転の不規則な生活を送るが、私は毎朝8時に起き、きちんと朝食を摂り、新聞を読む。

午前中に少し散歩をして、それからパソコンの前に向かい、昼まで仕事をする。

昼食は12時にお昼のTV番組を見ながら摂る。

昼食後、1,2時間を読書の時間に割き、それから再び夕刻まで仕事をする。

5時から始まるTVニュースを見ながら、夕食の仕度をし、6時には夕食を摂る。

それからは適当に、TVをザッピングしながら見て、気になったものはメモをしておくし、ちゃんと続けて見たいものは、あらかじめビデオに撮っておく。

そして夜のニュースを見て、お気に入りの深夜放送を見た後、1時には寝る。

締め切り前になれば、TVの時間を削り仕事をするし、逆に見たいビデオが溜まれば、仕事の時間に見ることもある。

しかし、ほとんどの場合、いつも同じスケジュールで過ごす。

妻子のいない独身だから、同居人もいない。

だから、そういった人たちに合わせて規則的になっているわけではない。

むしろ、独りでいるからこそ、ちゃんと自分を管理しないと、とんでもないルーズな生活をしてしまいそうで、そうしている。

O型の私は、基本的に大雑把で、だらしがないのだが、きちんとルールを決めて、その生活を心がけていると、意外と続くことがわかった。

しかし一旦やめると、二度と出来なくなりそうな気がする。

それが怖くて、今の生活パターンをなんとか持続させている。



その中でも、なにを措いても新聞を読むことだけは、全てにおいて最優先している。

それが私のメシの種になるからだ。

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[テーマ:なんかヘンな物語 | ジャンル:小説・文学]

【2006/04/28 01:00】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(2) |
防疫
厚労相に勤める新井は、ある日上司の馬場から会議室に呼び出された。

「すまんね、忙しいところ」

「いえ、とんでもない。それでお話というのは?」

「うん。実はこの度、新しい伝染病の特別対策委員会が設置されることになってね」

「新しい伝染病?それは私、初耳なんですが。どういったものなんでしょうか?」

「君が知らんのも無理はない。何しろ世間一般ではもちろん、関係各省庁内でも今は極秘事項だ。内閣にあっても、総理と官房長官、もちろん我が省の大臣は知っておられるが。その他はうちの省内でさえ、ごく限られた者にしか知らされてないんだ」

「そうなんですか。そうすると、それはかなり恐ろしい病気ということですね。しかも表面的にはあまり目立たない」

「さすがだね、その通りだよ。実に表面化しづらい病気であることは確かだ。しかし、恐ろしいかどうかは実のところまだよく解ってはいない」

「なるほど。それで悪戯に不安をあおることのないように、極秘に対策を立てているのですね」

「まったくその通りだ。やはり君は若いが、私が見込んだだけあって頭が切れるね」

「ありがとうございます。それでいったい私に何を?」

「まあ察しのいい君なら、既に話が読めているかと思うが。その対策委員に君を推薦したいと考えているんだ」

「しかし、私は若いですし、そういった仕事の経験もありません。お役に立てるかどうか……」

「そんな事はもちろんよく解っとるよ。しかし誰も君に委員長をやってくれとも、一人で仕事をやってくれと言ってるわけでもない」

「はあ」

「委員は他にも何人か選ばれる訳だし、その中には君より経験豊富で、知識も持つものも多数いる。しかし君にはその若さが持つ行動力と判断力、頭の切れがあると私は見ている」

「それはありがとうございます」

「だから実質面では、他の人にサポートをしてもらいながら、君は君でその特徴を生かして事態に当たって欲しいということなんだよ」

「わかりました。そういうことでしたら有難く引き受けさせて頂きます」

「そうかね。まあそう言ってくれると信じていたがな」

「しかし……」

「何だね?」

「まだ肝心のその伝染病について、お聞きしてませんが。それは一体どんなものなんでしょうか?」

「うむ」

そう言うと馬場は腕を組み、しばらく沈黙した。

どう説明したらいいか計りかねているといった様子が新井にも理解出来た。


「実は真に奇妙な病気で、いやまだ本当にそれを病気と呼んで良いものかどうかも判断つきかねている。今回の委
員会の当面の議題も、まずそこら辺のしっかりした判断が話し合いの中心となるだろう」

「と言いますと?」

「現在この病気というか症状を認識している者の間では、それを『ワライ』、もしくは『ワライ病』と呼んでいる」

「ワライですか?と言うとそれはライ病の一種、もしくはライ病に症状が似ているのですか?」

「いや、そうじゃない。ライ病とはまったく関係がない。ワライだよワライ。英語で言えば、laugh 。お笑いのワライだ」

「え?それではおかしい時に笑う、そのワライですか?」

「そうそのワライだよ」

「はあ。いったいどういうことですか?」

「まあ、そういった反応も予想できたことだよ。私も上司から最初に話を聞いた時は、同じ様な反応をしたものだ。それとね、今から忠告しておくが、君がこれから取り組んでもらう仕事は、常に今の君と同じ様な反応を示す者達と向き合うことが主になるだろう。覚悟しておきたまえ」

「はい、失礼致しました」

「はは、いや何もそんなに恐縮することはないんだ。少し脅しが過ぎたかな。いや話がそれたが、ともかくそのワライ病については、最初に発覚した事件を語るのが解りやすいようだ」

そして馬場は、その事件について語り始めた。




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[テーマ:☆オリジナル小説☆ | ジャンル:小説・文学]

【2006/03/31 18:31】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) |
着道楽
ようやく残暑の陽射しも衰えて、日中でも風が肌寒さを感じさせる頃。

安西由美は久しぶりに友人の別所真知子に会うために、待ち合わせ場所の喫茶店に入る。

店内を見回すが、真知子の姿は無いので適当に座ってコーヒーを注文した。

ウェイターが湯気の立つコーヒーを持ってくるのと、自動ドアがチャイム音と共に開き、真知子が入ってくるのはほとんど同時だった。

きょろきょろと周りを見回す真知子に向かって手をあげる由美。

それに気付くと真知子は笑みを浮かべながら近付いてきた。

「お久しぶり」

「本当ね」

そう言って真知子は由美の向かいのイスに腰かけようとして、
「どっこいしょ」
と思わず声が出る。

「いやあねえ」
と由美は笑いながら言う。

「あはは。いいじゃない、誰に見られてるわけじゃないし。あなただって言うでしょ」

真知子はウェイターから受け取ったおしぼりで手を拭きながら、臆面もなく言う。

豪快さは以前からだが、子供を産んでからは更に磊落さが増したようだ。

「あたしもホット」

ウェイターに告げると真知子は両手で肩を抱いて、
「最近急に冷え込むようになったわね」

「そうね。私ん家も昨日、衣替えで整理したわ」

由美がそう言うと真知子も大きくかぶりをふって、
「うちもよ。でもこれだけはっきりしてくれると踏ん切りがつけやすいけどね。もう暑くはならないでしょ」

「たぶんね」
由美はスプーンでコーヒーカップの中をかきまぜながら答える。

真知子は由美を見て、
「そのワンピースいいわね。色がいいわ」

「ありがとう」

自分でも気に入っている一着だった。



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[テーマ:自作小説 | ジャンル:小説・文学]

【2006/02/21 00:01】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ZUI
「ただいま」

安倍氏の、いつもと違う沈んだ声に、妻のフミさんは不審に思った。

「おかえりなさい。どないしました?何か悪い事でもありました?」

フミさんの顔を見るなり、安倍氏は深い溜め息をつく。

「 ありました所やないがな。ほんまに、何でワシなんや」

上着を脱がせてもらいながらも、ブツブツ言い続けている安倍氏だが、
フミさんは要領を得ない。

「何があったのか、ちゃんと説明して下さい」

そう言われて安倍氏は、やっとフミさんの顔を見据えて言った。

「あんな、今日、小野はんに呼び出された時にな、もう悪い予感はしたんや。せやけどワシ、そんな大層な実績もないし、語学も出来る訳やないから、まさか選らばれるとは思わなんだんや。せやのに……」

「せやから何ですの?」

「ワシ、遣隋使に選らばれてしもた」




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[テーマ:ちょい笑(?)小説 | ジャンル:小説・文学]

【2006/02/19 14:28】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(2) |
自信アリ
「じゃあさ、一旦ここで休憩をとって、ついでにお昼も食べよっか」

「そうね。それがいいんじゃない。それで……」

そこで言葉を切って、亜美は、目を閉じて耳を澄ませるような、素振りをする。

文太は、地図を見ながら話していたので、亜美のそんな仕草に気付かず、

「で、ここのI.C.で、高速を降りるのが一番近いと……」

「しっ!」

亜美が文太の言葉をさえぎり、人指し指を立て、口の前にあてる。

「どうしたの?」

何となく分かっているが、一応文太は聞いてみた。

すると、亜美は目を開け、

「今、揺れたよね?」

「揺れないよ」

またか、と言った顔で、文太はつぶやいた。

「揺れたって。絶対揺れた」

「いいよ、分かったよ。揺れた、揺れた」

「何よ。信じてないでしょ」

「信じてるよ。じゃあTVつけてみるよ」

言うと、リモコンを取って文太はTVをつけ、チャンネルをNHKに合わせる。

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[テーマ:下手な短編小説ですが・・・。 | ジャンル:小説・文学]

【2006/02/10 10:09】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(2) |
いい友
「はい、それじゃあお友達の方を……」

「えーっ!!」

彼女は観客の方に、にっこり微笑んだ。

「ありがとうございます。それでは、山田順二さんを」

テレビを見ながら、刑事部屋でラーメンをすすっていた順二は、画面の中の女優の言葉に、ぴくっと反応する。

「ありがちな名前だけど、芸能人で誰かいたっけ?」

独り言を呟いて、テレビに目を向ける。

アシスタントのアナウンサーが、コードレスフォンを女優に手渡している。

いつもなら、ゲストの隣に置いてあるモニターに、電話する相手の顔が映し出されるのだが、今日は誰の顔も出てないことに、順二は気付いた。

「おかしいな、こんなことあったっけ?」

不審な顔の順二の携帯が鳴る。

「はい、もしもし山田です」

「あ、順二くん?私。テレビ見てる?」

「は?」

耳慣れない、聞き覚えのある声。

「見てなかった?テレビつけて!お昼のあの番組よ!」

あーなんか耳がおかしい。

スマップの歌みたいな、ユニゾンってやつ?

順二はデジャブを耳で聞いたような感覚にとらわれた。

「あの、どちらさまですか?」

ようやくまず聞くべきことが聞けた順二。

「わたしよ、藤巻、藤巻愛よ」

それは確かに、画面に映る女優の名前だった。

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[テーマ:自作小説 | ジャンル:小説・文学]

【2006/02/09 02:42】 | 小説 | トラックバック(0) | コメント(2) |
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プロフィール

けん@neo

Author:けん@neo
作家を目指しながらも、日常に追われる日々を過ごす37歳。
名古屋生まれの、名古屋育ち、だが現在は関東在住。
作家に限らず、同じように自分の才能を世の中に送り出したいと考えている方たちと、交流がしたいです。
YouTubeにTwitterもやってます。

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