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かいじょし(1) (2) (3)を読んでいない方はこちら。
「山さん、それじゃあ。」 順二に向かって無言で頷く山さん。順二は勢いよく部屋から飛び出していった。 「皆さん。どうやら署までご同行していただく必要はなくなりそうです。」 山さんは大作達に向かってそう告げた。 「どういうことですかい?」 聞き返したのは江原だった。 「それは、皆さんお揃いになってからお話します。」 山さんがそう答えると、それ以上誰も、何も聞くことはなかった。 しばらくして、鑑識係や、ほかの捜査員らが応接室に集合した。 介護士の尾藤も、再び呼び出されていた。 順二も既に山さんの隣に戻って来ている。 手には先ほどの辞書をまだ持っていた。 山さんは一通り部屋の中にいる人々を見渡した後、おもむろに口を開いた。 「皆さん、お待たせしました。それではこれから秋山氏殺害事件の真相をお話したいと思います。」 |
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「どうなってるの?呼び出しといて返事もないなんて。」 どうやら秋山氏の元愛人の千鶴らしいと、山さんは気づいて言った。 「千鶴さんですか?わざわざご足労かけまして。」 山さんが丁寧に応対する。しかし千鶴は状況が掴めず、山さんに対して、「何者?」といった表情を向けている。 「私は県警本部の山田です。」 山さんは警察手帳を示しながら告げる。 「刑事さん?いったいどういうことですの?」 ますますわけが分からないという具合に、ほとんど叫ぶようにして千鶴は聞いた。 「実は大変申し上げにくいのですが、秋山さんが亡くなりまして。」 「えっ?殺されたんですか?」 千鶴の言葉に、山さんは「おやっ?」という顔をして、 「どうして殺されたと思ったのですか?私は亡くなったと言っただけで すが?」 「だって、警察の方がいるってことは、そういうことなんじゃないですか?」 そう言いながら千鶴は、はっと気づいたように、 「まさかそれで私を疑ってここに呼び出したんですか?」 |
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順二の連れてきたお手伝いさんは、二十歳を越えたか越えないかぐらいの、若く美しい女の子だった。 「メイドをしております、文香です。」 と丁寧に頭を下げる。 「今どき、メイドかね。」 と呆れる山さんに、 「やだなあ、今、流行ってるんですよ。メイド萌えなんて言って。」 「お前はだまっとれ!」 あわてて口をつぐむ順二。 「文香さん。あなたは住み込みで働いていらっしゃるんですかな?」 「はい。この家には私と旦那様の二人で住んでいます。私は主に、食事やお買い物、掃除、洗濯等を担当し、力の要る仕事や、旦那様の介護を尾藤さんにしていただいておりました。」 「なるほど。それでは昨晩のことを、詳しくお聞かせ願いますか。」 |
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