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以前に原発反対を訴える為に「戦争に反対するのに理由なんて要らない」と言った事があるが、原発に賛同する人達の多くは自ら戦争を望む人達であったために意味が無かった事に今気付いた。
「戦争をする事が何故いけないか」ということは、突き詰めていくと「何故人は人を殺してはいけないのか」ということになる。 人が人を殺してはいけないという生物学的な根拠は無い。 人が人を殺してはいけない事を説明する際「私利私欲の為に同族を殺す動物は人間だけ。人間以外の動物は他の動物を殺すのも食料にするためだけである」と言うがこれは正しくはない。 人間以外の動物も外敵から身を守る為に相手を殺すし、必ずしも食料にする為だけに殺すわけではない。 つまり人間が人間を殺していけない理由は、理論的には何一つ無い。 いやむしろ、地球上の一生物として効率を考えたら、人間は減らすべきなのかもしれない。 しかしそんなことを言ったら多くの非難をあびるであろう。 人間が人間を殺していけないのは理屈ではない。それは感情以外の何ものでもない。 「何で人を殺してはいけないか?法律で決まってるから」と言われたら違和感を覚えるだろう。 「じゃあ法律で禁じられていなかったら人を殺すの?」と反発するかもしれない。 つまり人を殺さないのは理屈でなく感情によるものなのだ。 「原発に反対している人達は感情論を語るだけで論理性がない」という言葉を良く目にする。
論理が感情よりも優先されるという事が果たして常に正しいと言えるのだろうか。
また「原発に反対する人達は現実を見ていない」とも言う。人が死ぬ事よりも経済を重視する事が現実を見ることなのか。 彼らの言う現実とは、彼らが見たいと思っている現実の一部に過ぎない。 今ここにある確かな現実とは原発事故により多くの人が死に、死を避ける為に何万人もの人達が避難し、それでも避けられない放射線がどんどん拡散しているという事だ。 そこから目を逸らして現実を見ずに、一見もっともらしい論理を振りかざして感情を否定する。 それは最早論理的とは言えない。 論理的と機械的である事を混同する手合いが多い。 人は人らしくあるために人を殺さない。 人は感情を手にした事によって人を殺さない。 人が感情を殺し人間らしさを失った時に、人を殺しても平気でいられるようになるのだ。 これだけ多くの人が亡くなりそして亡くなりつつある現実を目の当たりにしながら、尚も自分達が望む現実を求めることにどれだけの論理性があるというのか。 インターネットが発達した現在では、情報過多になり、自分で考える事を放棄した人が増えているように思える。 答えを外に外に求め自らの判断に自信が持てず「ソースはソースは」と自分が納得出来る(したい)理由を求める。 自分に都合のいい理由だけを求め、一度それを得るとそれに拘り固執する。 何故なら自ら考える事を放棄しているので、与えられた考えを疑うことも精査する事すらしない。 一度得た理由を盾に他を寄せつけず、更にそれに沿う理由を集めてどんどん武装していく。 強い鎧は確かに自分の身を守るかもしれないが、同時に自分の視界を狭くする。 そして考える事を放棄した人は僅かに残った覗き穴から外を見ることすらしなくなってしまう。 大事なのは理由では無い。 理由から導き出される結論と導き出す過程である。 理由や根拠に拘る人は、その結論やそれに至る過程を軽視する余り本当に大事なことを見逃しがちだ。 そういった人達は自ら問題に対して向き合う前にそこに理由を求め、理由が無ければ思考を先に進める事も出来ない。 論理的であるという事は理屈や理由だけではなく、人間らしい感情を含めた全ての事象を加味して思考を組み立てる事である。 その問題を構成する要素を意図的に外しては論理性は生まれない。 何かの理由を求め、数字を求め、理屈を求め、感情を否定した先にいったい人間らしさがあるのか? 人間らしさを取り除いて人間の問題について考え、解決出来るのか? 原発の問題は人間の問題である。 機械の安全性がどうとか、放射能の数値的にどうとか、経済に与える影響がどうとか、理屈や理論を捏ねくりだしたらいつまでたっても本質的な問題の解決にはならない。 原発の本質的な問題とは、それによって人間が死んだということ、また死につつあるということ。 そこから目をそらして理屈をなんだかんだ言っても話は進まない。 人は人を殺さない。 それが当たり前の事として通るなら、原発は無くすべきだ。 それでもなお原発を推し進めるというなら、法律を変えるべきだ。 人は人を殺しても罪にはならないと。 了 [テーマ:「原発」は本当に必要なのか | ジャンル:政治・経済] |
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