上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書く事で広告が消せます。 |
「あなたが―豚だったのですね」
いつもより早く仕事を終えた僕は、いつものように帰宅してすぐ自分の部屋のパソコンを起動する。 いつものように自分のブログが参加しているブログランキングサイトのバナーを3つとも自分でクリックする。 Yahoo!のトピックスをチェックしてから、ツールバーに埋め込んである「瞬ワード!」をいつものようにクリックし、今現在話題のワードのランキングを確かめる。 今日はその中に「星新一」という語句が何位かにランキングされていた。 星新一さんに多大な影響を受けていると自負する僕は、さっそく「星新一」という語句をクリックし、彼の何が話題になっているのか見てみる。 「星さんの小説がドラマ化か映画化でもされるのかな?」 僕のこの予感は当たっていたと言えるのか、それとも。 「瞬!ワード」ではランキングされている語句をクリックすると、その語句に関連する様々なサイトの一覧が表示される。 10件ずつ関連度の高いもの、例えばその語句のHPやウィキペディアのページなどが表示されるが、それを見るだけでは「何故、今現在その語句が話題になっているのか」を知るのは容易ではない。 そこで、そのページではその語句と一緒に検索されることが多い語句や、その語句に関する最新のニュース記事、ブログ記事のリンクも同時に表示される。 それらを見ることによってその語句が話題になっている理由を窺い知ることができる。 「星新一」という語句のページに付随していたブログ記事のリンクには、 『漫画「イキガミ」が星新一の小説「生活維持省」に酷似』 というものがあった。 おそらくこれが「星新一」という語句が一時的に検索ランキングの上位に入った理由なのだろう。 「イキガミ」という漫画は僕はヤングサンデーに掲載されていたのをたまたまどこかで読んだことがあり、話しの筋というか背景は知っていた。 何話を読んだのかは覚えていないがそのときは、 「面白い発想の漫画だな」 というぐらいの感想を持っていたと思う。 漫画喫茶で単行本を見かけるといつも、いつか読んでみようと思うのだが、中々読む機会がないままだった。 一方星新一の「生活維持省」の方はどうも読んだことあるような無いような、まさにうろ覚え。 てゆうか忘れていますね、それは。 そんなこんなで興味をそそられた僕はさっそくそのブログ記事をチェックしてみる。
記事によると、星新一さんの次女マリナさんが映画「イキガミ」の原作漫画が星新一さんの短編小説「生活維持省」に酷似していることを小学館に抗議していたことを星新一の公式ホームページ上で発表した。
そして小学館や「イキガミ」の作者からは星新一の「生活維持省」は読んだことがなく、参考にした事実は無いというコメントがあったことを、そのコメントとともに掲載している。 マリナさんはこの小学館等の対応に納得は出来ないが、これ以上抗議行動をする気も無く、ただ主張したかったことを皆に伝えたかったのでHPに載せたのだと言う。 そして後の判断は読者に委ねるとも記している。 なるほど委ねられましたな。 では、僕なりに検証し判断してみましょう。 ただ― 「当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな」 まずは僕が一番最初にチェックしたブログ記事をもう一度見てみると。 これこそ2chのスレッドをコピペしただけの丸パクリなので(このブログの作者は気になった2chのスレッドを保存するためのブログと明記しています)、記事に対するコメントがつらつらと一緒に掲載されている。 一つ一つ読んでいくと、大半が「イキガミ」はクロ(パクリ)という意見。 ところがそのコメントのほとんどが、両者のあらすじをまとめたあるコメントに対するレス(返事、反応)であり、どうやらちゃんと両方の作品を読んだ上でのコメントは少ないもようである。 そのまとめたあらすじというのも、星新一さんの公式HPを見て知ったのだが、当のマリナさんが彼女なりに両者のあらすじをまとめたものが同HP上に掲載されており、そのコピペであった。 2chのコメント上にもこのあらすじを丸々信じてレスするのは軽率とする見解もある。 コメントしている人達自身も、「イキガミしか読んでませんが」とか「生活維持省の方しか知らないが」と前置きしているものが多い。 やはり、両方きちんと読まないことには検証のしようがない。 「生活維持省」の方はマリナさんが読者に今回の訴えを正しく判断してもらうために今月18日から3日間だけHP上に同小説を掲載し閲覧できるようにしている。 さっそくそれを読むとして。 「イキガミ」の方は、僕が読んだのはおそらく第1話ではない。 マリナさんが主張しているのは主に第一話(エピソード1)が類似していることらしいので、それは読む必要があるだろう。 僕は「イキガミ」の第一巻を手に入れることにした。 そして両方を呼んでみた僕。 「生活維持省」を読んで最初に思ったこと。 「俺、これ読んだことあったわ」 読んでみて話を思い出したこともあるが、それより何より最初の「私」と「課長」のやり取りや「私」と「同僚」との会話を読んで、自分が過去に書いた短編小説「防疫」を思い出したからである。 確かに僕の短編はどれも星新一を意識して書いているし、特にこの「防疫」は星新一っぽさを出したくて書いた作品だ。 しかし、これを書いているときには「生活維持省」の話はまったく頭になかったと思う。 というよりこのときもこの作品を読んでいたことを忘れてる。 だが、僕の「防疫」の中の新井と馬場のそらとぼけたやり取りは明らかに「生活維持省」の登場人物のそれを意識して書いている。 おそらく自分で読んだことすら忘れている話が、僕の中で「すっとぼけた感」を出すためのステレオタイプになっていたのだろう。 この「防疫」という作品は、以前僕が小説を書くトレーニングとして挑戦していた「国語辞典の見出し語句で話を作る」シリーズの一つである。 つまり、国語辞典を適当に開いたら「防疫」という見出し語句があったのでそれをテーマに話を書いたということだ。 おそらく僕は「防疫」という言葉から「役人」や「役所」を連想し、その「お役所仕事」のとぼけた感じを出すために、頭の中に眠っていた「生活維持省」を無意識にパクっていたのだろう。 設定もストーリーも何もかも違うが、この「そらとぼけた感」は完全に星新一のしかも「生活維持省」のパクリだと自分で思う。 一度両方読んでみて下さい。 「なんだ、結局自分の小説よんでもらおうって魂胆か」 なんて思っている方、その通りです。 色の変わっている「防疫」をクリックすればリンクします。 大分話がそれましたが、次は「イキガミ」です。 「イキガミ」の内容の前に、僕は前々から漫画喫茶でこの単行本を見かけると「イキガミ=生き神」もしくは「生き紙」と頭の中で勝手に変換していました。 でも以前一話だけ読んだことがあったので、内容を知っていた僕は、 「確か死亡宣告書みたいなものを渡されるようなマンガだったのになんで「生き神」なんだろう?」 と「イキガミ」と言うタイトルに何か違和感を勝手に感じていました。 実際は「イキガミ=逝き紙」だったわけですが。 とにかく第1巻を手に入れた僕は第1話を読んでみる。 あらすじとしてはマリナさんがまとめたものと大差はない。 当然マリナさん自身も述べているように、この二つをまとめたあらすじは両者の共通点をピックアップしたもので、先の2chのコメント内にも「ストーリーが違う」等の違いを指摘するものも多くある。 しかし、それらの違いはあくまで短編である「生活維持省」と連載漫画である「イキガミ」の両者の掲載形式からくる違いである。 「生活維持省」は短編であるがゆえに最後のあの結末が用意でき、主人公を主人公たらしめている。 しかし「イキガミ」の場合連載を続けるためにはその結末は出来ない。 そこであくまで主人公は狂言回し的立場をとらせ、イキガミをわたされるゲストキャラクターに一話ずつの真の主人公を演じさせている。 小学館サイドはこの違いに重きをおいており、これをもって「イキガミ」は完全にオリジナル作品であり、あとの細かい設定が似ているのはまったくの偶然だとしている。 そして「イキガミ」という語も戦時中の徴兵を知らせる「赤紙」に着想を得たとしている。 確かに「アカガミ」の「アカ」を一つずつずらすと「イキガミ」になる。 「本当に―善く出来ている」 僕は「イキガミ」を第1話だけでなく、結局第1巻全部読んだ。 そこで感じた違和感がいくつかある。 まず一つはやはりタイトルの「イキガミ」である。 どうもこの「イキガミ」という言葉が出てきた、つまり発想できた経緯がわからない。 確かに先に書いたように「赤紙」から着想を得たなら「イキガミ」は大変に近い語感ではある。 しかし語感は似ていても、「イキガミ」という語からはどうしても「生き」を連想していまい、本来の内容に則した「死」のイメージが沸いてこない。 僕が以前から「イキガミ」というタイトルに感じていた違和感が氷解した瞬間があった。 「生活維持省」の中に生活維持省の役人が対象者の母親に自分達の身分を示すために、胸につけているバッヂを示す場面がある。 それを見た母親は思わず、 「ああ、死神…」 とつぶやく。 これを読んだ瞬間僕は鳥肌が立った。 もちろん僕は「イキガミ=生き神」を「死神」の対比として連想していた。 その「死神」という語句がこうもはっきりと、しかも如実に主人公をあらわす言葉として使われていたのだ。 おそらく他のみなさんはこれこそ偶然と考えるだろう。 しかし「生活維持省」との問題があったことを知る前から「イキガミ」というタイトルに違和感をずっと感じていた僕にしてみれば、もうこのタイトルはこの「シニガミ」から着想したもの以外には考えられず、「赤紙」うんぬんは後付けとしか思えなくなってしまった。 次に疑問に感じたことは、果たして「イキガミ」の作者は「イキガミ」とその制度を肯定しているのか反対しているのか分からない点である。 漫画を読む限り(しかも第1巻だけですが)では、作者は主人公と同じく「国家繁栄維持法」に疑問を感じているように思える。 主人公が漫画の中で数々の疑問を示すシーンがあるが、それに対して彼の上司等がもっともらしい回答を与えている。 しかし、どの回答も真に納得させるものではなく、作者もそう意図して描いているのだろう。 この制度は間違っていると。 ところが、今回の騒動において星マリナさんに対する小学館サイドからの回答を読むと、どうもその考えが本当かどうかが疑わしくなってくる。 小学館の回答によると作者はこの「24時間以内に死ぬ」と宣告された若者がその時間をどのように過ごすかという中にドラマが生まれるとしている。 つまりこの限られた時間を告げられた者だからこそ命の大切さを真剣に考え、残された時間を有効に使うことで命を価値あるものにすると考えているのだという。 それはまさに「国家繁栄法」の基本的な目的と同じなのではないか。 「国家繁栄法」の目的は国民に「死」に対する恐怖を与えることで逆に「命の価値」を再認識させることだそうだ。 普通に考えたらこんな本末転倒な法律は無いと思うだろう。 実際に作者も主人公を通じてこの法律の矛盾を示している。 ところが小学館のコメントによれば作者はこの法律が実際機能すると考えているとしか思えない。 おそらく作者はやはり「国家繁栄維持法」反対論者だと僕は考える。 ところがこの「生活維持省」との問題が浮上してきたことを受け、類似を否定するために無理に出した考えが矛盾を生んだのではないか。 星新一さんも「生活維持省」の中でそのシステムの矛盾を示すために最後の結末を用意した。 「イキガミ」の作者も同じような考えで「国家繁栄法」を捕らえていたのだが、そうするとやはり模倣したものと思われると思った小学館サイドは無理やり星さんと違う捉え方をしようとした意見を示した。 それが僕が漫画と小学館のコメントの両方を呼んで感じた違和感なのだ。 作者の意図が漫画から感じるものとコメントから感じるものとではズレがある。 「―あんたも―駒か」 最後の疑問、というより、この疑問こそが他の疑問を引き起こす原因になっていると僕は考える。 それは果たして「イキガミ」の作者は何故「国家繁栄法」というシステムを考ええたのかである。 「生活維持省」のシステムを星新一氏が発想できたのはもちろんその時代背景があったからだ。 その当時はこの日本でおいてさえ人口増加が懸念され、国民の生活を維持するために間引きをするという発想はそこに矛盾があるにせよ、思いつくのは容易である。 ところが現在の少子化が叫ばれる世の中で、「間引きによる国家の繁栄」という発想が果たして出てくるだろうか。 実際には「イキガミ」の中では命を奪うことで命の価値を認識させるという「生活維持省」とは違う目的で描かれている。 しかしこの理由も僕が感じた本来の作者の考え方からすればとても考えつくものではない。 「そうはいっても何でもありのフィクションの世界ならどんな発想も自由に出てくるのでは」 そう思う方も当然いるだろう。 しかし僕もプロではないとはいえこれでも必死にものを書いている一人として言わせてもらうと、確かに荒唐無稽な話を書こうと思えばいくらでも書けるし発想も出来る。 ところが、ある伝えたいテーマがあってそれを本当に真剣に伝えたいと思うなら、いくら突拍子も無い設定でも読者がリアリティを感じるように描く努力をするはずだ。 星さんの作品の素晴らしいところはどんなにおかしな奇妙な世界でも、その世界におけるリアリティが、世界観がある点だと僕は考える。 「ああ、ありえるかも」と読者に思わせることが作者が読者にテーマを伝えるために最低限守る規範である。 逆にどんなに面白い発想があったとしてもそれをリアルに感じさせることが出来なければ、その話は駄作となる。 「イキガミ」はもちろん荒唐無稽な作品などではなく「命の重さ」を伝えるという重大なテーマを持って描いていると作者は主張している。 であるならば、その世界にリアリティを感じさせるのは当然である。 そう考えるならば、たとえ「命を奪うことで命の価値を再認識させる法律」を思いついたとしても、 「駄目だ、こんなのはリアルじゃない。読者には伝わらない」 と却下するはずだ。 本当に作者が「命を奪うことで命の価値を再認識出来る」と考えているなら話は別だが、先に書いたように作者はこの法に矛盾を感じている。 つまり、この発想は元々あった「生活維持省」の中にあったシステムを流用しているため、その際現実社会との矛盾を取り除くため後付けで「命を奪うことで命の価値を再認識」というシステムに無理やり変えたことで余計にリアリティを失くしているのである。 このリアリティの無さに比べたら、「カード」や「維持」などの細かい語句の類似や、扉絵が似てるなんてことはどうでもいいように思えてくる。 これが「生活維持省」から発想を得たもので、現代社会に則さない部分はシステムを変えてみました、と言うなら読者はそれなりにリアリティを持ってこの話を読むことが出来ただろう。 唐突に思い出したが、昔好きだった漫画で「死神くん」というものがある。 死んだ人間の魂を冥界に連れて行く死神くんを主人公に毎回違った死の形を通じて命の大切さを問う漫画であった。 「あれ、イキガミって実は死神くんのパクリ?」 と思った方、実は僕も「イキガミ」というタイトルや内容から「死神くん」を連想したこともあったのですが、こっちも考え出すと収拾がつかなくなるので。 死神くんが何故同じ命を奪われる主人公を描きながら命の尊さを訴えることが出来るのかというと、それは死神という非現実的なキャラクターが出てくるとはいえ、そこで描かれる様々な「死」はどれも現実に則したリアルなものだからである。 もちろん理不尽な死や戦争による死もあるが、僕らは死に面しているという現実から外れるものではない。 ところが「イキガミ」で描かれる「死」はあまりにも理不尽な国家による強制的な「死」であり、それに対するアンチテーゼを描くなら読者はリアルを感じることができるが、「死」とその対照としての「命」の価値をそこに見出すことは難しい。 つまり理不尽に奪われたという事実にばかり怒りが向かい、たとえそれに対して死する主人公が最後の時間を健気に過ごしたとしても、その境遇に共感できない。 これこそがこの作品の最大の問題点なのである。 「命の価値」を再認識させるために、この「国家繁栄法」はもちろんそれを利用した作者のストーリーも、リアルさが無いためにその機能を果たさないのである。 もはや、この「イキガミ」が「生活維持省」の模倣なのかどうなのかは問題ではない。 この作品が選んでしまったシステムは、「命の価値」を見出すためにはうまく機能しない。 しかし連載も映画化も止めることは出来ないだろう。 「それが―黒い豚の理ですもの」 この問題を検証するにあたって僕はいくつかのサイトを巡った。 最初のきっかけとなった2chのまとめサイト。 星新一さんの公式ホームページとそこからリンクする「生活維持省」の全文と小学館サイドからのコメント。 ウィキペディアの「イキガミ」のページ。 そして映画「イキガミ」の公式ホームページ。 それらを見ていき、そしてこの記事を書いていく内に僕にはある疑念が浮かんでくる。 「僕は重大な間違いをしているのではないか」 思考が止まり、僕は想像の世界に沈んでいく。 「僕が初めに疑問に思ったのは、この論争はずいぶん前から、僕が調べたところによると、2005年には日本文藝家協会に両者が似てるという訴えがあったといいます。これは「イキガミ」が連載を始めた年でもあり、実に3年も前です。」 「そのようですね」 「これに対して小学館は日本文藝家協会に対し、問題は無いと回答し、その後もネット上で議論は繰り返されるものの、そこで一応事態は解決している」 「そう聞いています」 「僕はその時点でこの話が何故星マリナさんの耳にはいらなかったのかがわからないのです。というのも星新一氏の公式ホームページ上で彼女はこの事実についても記述していますが、この問題を知ったのは今年の4月に友人によって知らされたと書いています」 「それは私も読みました」 「いったい何故日本文藝家協会は問題が発覚した時点で星さんに報告しなかったのでしょう?」 「恐らく、小学館とのやり取りで問題が無かったためにあえて星さんに伝えて騒ぎにすることも無いと考えたのでしょう」 「しかしマリナさんは著作権者ですし、事後報告でもするべきではなかったのではないでしょうか?」 「そうですね。しかし今となっては当時日本文藝家協会がどういう考えだったかは私にはわかりません」 「そうですか。そこで次に僕が疑問に感じたのはこの問題をマリナさんに伝えた友人はどうしてこの問題を知りえたかということです」 「といいますと?」 「当事者である星さんの耳にすら入ってこなかった「イキガミ」という存在。恐らく星さんはハワイ在住ということもあり日本の漫画の情報が入りづらいこともあったでしょう」 「まあ、考えられますね」 「それでは恐らくこの友人は日本の方なのでしょう。そして星さんの友人なら星新一氏の作品が盗用されたと話題にあがればもちろんチェックするでしょう」 「そうでしょうね」 「ところがこの論争があったのは2005年で一応の解決がなされており、その後はネット上で論争されていたに過ぎない。しかし、そこが問題なのです。つまり当時は知りえなかったかもしれない情報でも、ネット上にはその議論の跡はのこるのです」 「どういうことですか?」 「つまり星さんも、その友人も見ようと思えば知ろうと思えば2005年の問題発覚後からいつでもネットを通じて知ることができた。「星新一 盗作」と検索すれば、何件も辿っていけば「イキガミ」と言う漫画に行き当たるでしょう」 「そうなのですか?」 「これは「イキガミ」が星さんの作品の盗作かどうかは関係ありません。一度ネット上で加熱した議論ならことの真偽に関わらず痕跡が残り、その後もいつでも閲覧できるのです」 「恐ろしいですね」 「ええ、恐ろしい世の中です。ところが星さんもその友人もこの4月になるまでそれを見ていない。もはや偶然知るにはこの情報はネット上で知るしかない。しかしネット上ならいつでも知れる情報を、しかもこの二人なら検索する可能性のある情報を二人は知らなかった」 「どういうことですか?」 「つまり星さんの友人もこの情報を知らされた。自身で見つけたのではないということです」 「何故ですか?」 「確かに友人がネット上で先ほどの情報を検索する可能性はあります、しかしこまで友人の著作権を心配する方なら2005年から今までの3年間の間にこの検索をずっとしてこなかったのは何故でしょう?」 「今年の4月になって急に調べだすのはおかしいということですか?」 「確かにたまたまという考え方もできるでしょう。しかし、もう一つ僕が気付いたことがあります」 「何ですか?」 「ウィキペディアの「イキガミ」のページに映画「イキガミ」についての表記もあるのですが、この映画の撮影が今年の3月から始まっているのです」 「それが何か」 「そして4月から続けてきたこの論争をマリナさんは今月9月に終わらせました。納得いかないままに」 「どういうことですか?」 「映画「イキガミ」は9月27日から公開なのですよ!」 「そ、そんなものは偶然です」 「そう、全ては偶然で説明できることです。だから僕は今まであなたのしてきたことには何も記事にはしてこなかった。しかし僕が動かなくても、亀田の件も秋山の件もあなたの思惑通りに世間は炎上した」 「私の思惑?」 「確かに僕も自作自演をすることはある、自分のランキングバナーに自分でクリックすることなんて毎日です」 「そんなこと」 「そう、このブログ自体がパクリの塊です。だから僕にはそれを糾弾することは出来ない」 「だったら」 「しかし、あなたはあまにも多くの人を巻き込み過ぎた。今回の件だけでも星さんとその友人、小学館とイキガミの作者、日本文藝者協会や映画関係者。そしてなにより一般のネット住民をあなたは自らの目的のために扇動したのです。しかも自身とは無関係のところで」 「しかしわたしは立場的には加害者の側なのでは」 「確かに最初はそうでしょう。ところがあなたの巧みなところは、盗作とは知らずに映画化してしまったという善意の第三者という被害者にその身を置き換えることが出来る立場にたっているところです」 「それを意図してやったとでも」 「それは断言できません。しかし今までの件同様この騒動があなたの手の上で行われたという疑念を僕はぬぐい得ないのです」 「全てはあなたの憶測に過ぎないのでは?」 「そうかもしれない。全ては偶然なのかもしれない。しかし全ての偶然の中心にあなたがいる」 「あなたが―豚だったのですね」 (了) 引用元:「絡新婦の理」京極夏彦 講談社文庫 |
読まさせていただきました。
応援ポチッ!!! サトシさんへ
コメントアンド応援ありがとうございます! またのお越しをお待ちしております。
【2008/10/11 22:29】
URL | けん@neo #-[ 編集]
|
|
今見てる人
|
現在の閲覧者数:
|
プロフィール
|
Author:けん@neo
|
お仕事ご依頼フォーム
|
けん@neoへのお仕事のご依頼は コチラ から
|
全ての記事を表示する
|
|
ブログ内検索
|
|
Search Google
|
|
RSSフィード
|
|
ブロとも申請フォーム
|
|
ブログランキング
|
|||||||||||||||||||||||||||
ぽちっとしてね
|
|||||||||||||||||||||||||||
Twitter
|
||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||
FC2アクセスランキング
|
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Google AdSence
|
||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||
amazon
|
|||||||||||||||
|
|||||||||||||||
新星堂ショッピングサイト
|
||||||||||||
|
||||||||||||
FC2アフィリエイト
|
|||||||||
|
|||||||||
FC2
|
||||||
|
||||||
i-mobile
|
|||
|
|||
あし@
|
|