みなさんお忘れでしょうが、これでも私、作家を目指していまして。
世の中に認知してもらうために色々やっているわけです。
最近はその色々の方がメインになっていて、本末転倒ぎみですが。
で、その本末転倒な作業をする中で、最近よく携帯電話のPCサイトビューアーを活用しています。
au携帯のPCサイトビューアーには本来のサイトページの上に広告のバナーが表示されます。
そこに以前、
「ケータイ小説専門サイト ノベル組 小説コミュニティー」
というサイトのバナーが出ていました。
そして「携帯作家募集中!」という表示が。
しつこいようですが、これでも私、作家を目指していまして。
早速そのバナーをクリックし、サイトにジャンプ。
その時は時間が無かったので、とりあえずお気に入り登録しいつでも見に行けるようにしておきました。
それで、時間が空いた時に再びそのサイトに行き、詳しく見てみました。
それで少し驚いたことがあったのです。
そのサイトは携帯用の小説や詩の他に、イラストも投稿したり、閲覧したり出来ます。
更に読者は気に入った作品や作者を登録してコミュニティーを作り、趣味の合う人と交流も出来るそうです。
それ自体はまあ他にもありそうな内容のサイトです。
しかし驚いたのはその登録システムなのです。
実はこのサイト、読者つまり小説等を閲覧するだけなら登録料金は無料です。
ところが、小説やイラストなどを投稿する場合、初月以外は月額約300円の登録料がかかるのです。
読者も投稿者も両方無料もしくは両方有料や読者だけ有料というのは見たことありますが、投稿者だけ有料のサイトは初めて見ました。
これはつまり普通の本や雑誌に例えると、読者は只で本が貰えて、作家は出版社にお金を払って本にしたり雑誌に載せてもらったりしているようなものです。
自費出版でフリーペーパーを配布するようなものでしょうか。
しかも広告料も無しで。
しかし、それともまた違う感じがします。
自費出版で本を出す場合、売れればその分のお金が入ってきます。
何よりも自費出版で捻出する費用というのは、印刷したり製本したりする、いわゆる本を製品化するための必要経費で、それを自己負担するわけです。
しかし、このサイトの登録料は、例えばパン屋さんを開く場合、パンを作るための材料にかかる経費というよりも、パン屋さんを開く場所を借りるためにかかる費用に似ています。
いや、それよりも、先に広告料という語が出ましたが、化粧品メーカーは女性誌に宣伝のために広告を載せます。
同様に、このサイトの投稿者は自分の作品を宣伝するために登録料という名の広告費を払って掲載してもらっていると言えます。
先のフリーペーパーの話で言うと、本来のフリーペーパーは作者に払う原稿料等のコンテンツを掲載するための費用を上回る広告料を得ることによって、只で提供出来ています。
フリーペーパーだけではなく、現在のインターネット上の無料で利用出来るサイトのほとんどが、こうした広告料で成立しています。
このサイトでは更に、コンテンツ自体が広告となり、そのコンテンツ自体を楽しみたい読者にとって、より無駄の無い内容にすることが可能になっているのです。
さて、ここで問題なのがコンテンツの内容が面白いかどうかはともかく、そのコンテンツをお金を払ってまで提供してくれるアーティストがサイトが成り立つほどいるのかという点です。
しかし、このサイトのトップページに大々的に表示されているように、登録作品数は8,000以上あるようです。
仮に一人が一つの作品を提供したとすると、8,000以上の登録者が月300円の登録料を払ったら…
結構儲かってんなあ!
というやらしい話はともかく、完全にこのサイトが成り立つほどのコンテンツ提供者がいるということです。
つまり、自分の作品をお金を払ってでもみんなに見て欲しいと思う人がこんなにいるのです。
最近僕はユーチューブに動画を提供するようになりましたが、こうしたコンテンツ利用者と提供者の壁がなくなり、両者が相互に行き来することが、Web2.0の主な流れと言われています。
このサイトのコンテンツ利用者と提供者の立場の逆転が、Web2.0の更にその先にあるシステムになるのでしょうか?
なんて言ったら大袈裟な話ですかね。
このサイトの運営者は、今のネット上の傾向から、コンテンツ利用者からお金を取るよりも、コンテンツ提供者からお金を取る方が得をすると考えたのでしょう。
少なくともこのサイトが成功しているところを見ると、ネット上のコンテンツ提供者と利用者の力関係は逆転する傾向にあると言えます。
現在ユーチューブに対してコンテンツ提供者が著作権の問題をクリアするように要求しています。
つまり著作権のある作品を不正にアップロード出来ないようにするなど、著作者の権利を守るようなシステムの整備を求めているのです。
ところが、その著作物の宣伝のために、あえてそれを自ら提供する著作者もいます。
そして先のサイトの成功やユーチューブ自体の爆発的な成長と成功を見る限り、こうしたサイトは著作者自体にも有効な宣伝媒体となっています。
さらに言えるのは、僕も含めてコンテンツ提供者が、プロアマの壁だけでなく、利用者との壁も無くなり、誰もが発信者と成りうる現在の状況からすると、発信者の数と利用者の数は既に逆転しているのかもしれません。
そんな中では、もう著作者が自分の権利を主張するほどの力が失われてきているようです。
だからといって現在ある著作物に対する不当な侵害は許されません。
しかし、今後出てくるコンテンツの著作権の在り方は、今ある考え方とまるで違うものになる可能性が高いです。
何度も言いますが、作家を目指す僕にとって、この問題は引き続き考えていきたいと思っています。
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